プレアカン遺跡(カンボジア)
▲周壁内部の北東に立つギリシャ風の2階建て建造物



アンコール遺跡を生み出した「心」とも言える乳海撹拌の神話や、それを表現した浮き彫りへの興味から、

『アンコールワットとアンコールトムの南大門以外に乳海撹拌のモチーフが見られる遺跡にはどんなものがあるのか』

そんな好奇心が入り口となって、乳海撹拌をめぐる遺跡の旅に出ました。ご紹介するのは、そのうちの一つ、プリアカン遺跡を目指したときの記録です。

(写真・文:カンボジア担当)
⇒乳海攪拌(にゅうかいかくはん)についてはこちら
アンコールワットの魅力 乳海攪拌ってどんな物語? あらすじと鑑賞のポイント
 

「聖なる剣」の名を持つプリアカン遺跡

アンコール遺跡観光の大回りコース沿いにあるプリアカン遺跡は、12世紀、ジャヤヴァルマン7世によって建てられた仏教寺院遺跡で、アンコール地域にある遺跡のなかでも有数の規模(東西約820メートル、南北約640メートル)を誇る大きな遺跡です。

プレアカン見取り図
▲プリアカン遺跡の見取り図

プレアカン西参道
▲西参道

多くの観光客が入り口に使っているのが、正面の裏側にあたる西参道です。大回りコースに面しているので、私もここからプレアカン遺跡へ入りました。

複数の団体客と重ならない限り、プリアカン遺跡を訪れる人はまばらなので、静謐とした空気が漂っているのが一つの特徴です。「密林に眠るアンコール」といった、典型的なアンコール遺跡のイメージをなぞるような気分に浸れます。

プレアカン遺跡の参道
▲綱に見立てた大蛇ヴァースキを引っ張る神々。遺跡の痛みは激しい

森を切り開いたと思われる参道を進むと、まず両脇に並ぶリンガを模した砂岩の彫刻が目に入りました。
リンガの先端部分にあたるところには仏陀が彫られ、それをガルーダ(聖なる鳥でビシュヌ神の乗り物)が力強く支えるような形に仕上げられていますが、仏陀の多くは残念ながら削り取られていました。カンボジアの現代史を肌で感じているかの様な感覚を覚えました。

プレアカン遺跡
▲西塔門前、乳海を模した環濠

リンガの彫刻に見守られるようにして参道を進むと、目的の一つの乳海撹拌のモチーフにたどり着きます。

神々とアスラが綱引きをするように大蛇ヴァースキを引っ張りあって乳海を撹拌することで、そこから不老不死の霊薬アムリタを取り出すという神話が大きな彫刻で表現されたもので、力強く描かれた表情と肢体が印象的です。

アンコールトム南大門にあるような保存状態が良いものではなく、人為的な破壊の跡が見られますが、南大門と違い車両の通行が一切無く、静かにじっくりと見学ができました。 この彫刻も、遺跡を取り囲む環濠に架かけられた陸橋上にあり、その欄干には大蛇(ヴァースキ、ナーガ)があしらわれています。

大海(乳海)に見立てられた環濠は、乾季であるにもかかわらず水をたたえており、その水を見ていると、豊穣の源である水に対してアンコール時代の人々がどんな想いを抱いてきたのかが感じ取れました。生命を育み、実りをもたらし、繁栄の礎をつくる水は、きっと神聖な存在だったはずです。

プレアカン遺跡
▲周壁をまたぐ溶樹

乳海撹拌のモチーフを後にして、さらに奥へと進みます。石碑文によると、プレアカン遺跡の建造には10万人もの人員が関わったそうですが、その数字の真偽はともかくとして、当時の繁栄ぶりが伺い知れます。
三重の周壁と回廊に囲まれ、所々、闇に包まれたようなこの遺跡の随所には、静かなるアンコールの至宝が眠っていることに気づきました。



プリアカン遺跡を彩る細やかな浮き彫り

そうした宝を探す「宝探し」のようなワクワクした気分が味わえ、ちっぽけな冒険心がくすぐられるのです。
アンコールが放棄されて以来、あたかもまだ誰もこの地に到達していないかのような錯覚にとらわれながら、遺跡の深部へ向かっていったところ、いくつもの「宝」と出会うことができましたので、そのうちのいくつかをご紹介します。



浮き彫り(プレアカン)
▲物語のひと場面を思わせる浮き彫り
アプサラの像(プレアカン)
▲躍動感あふれる踊るアプサラの像
西塔門上の浮き彫り(プレアカン)
▲西塔門上の浮き彫りは保存状態が良く見応え十分!
仏陀の浮き彫り(プレアカン)
▲足元に目をやると修行僧のような姿のブッダが
ガルーダ(プレアカン)
▲力強く表現されたガルーダ
デバター(プレアカン)
▲デバター(女神)の浮き彫り


ガイドおすすめの見どころ

カンボジア現地法人ピースインツアー・アンコール社のガイドの中でも、アンコール遺跡の魅力をよく知るMR.ポゥキィが、プリアカン遺跡の見どころを教えてくれました。

ジャヤヴァルマン七世の王妃(プレアカン)
▲プレアカン遺跡に眠る、ジャヤヴァルマン七世の王妃がモデルとされる像

私のお勧めは、やはり、プリアカン遺跡を建造したジャヤバルマン七世の妻がモデルとされる2体の女神像です。
遺跡に入り最初に見られる女神像のモデルは、ジャヤバルマン7世王が愛した最初の妻ジャヤテビィと言われています。最愛の妻を若くして亡くした王の無念さが伝わってくるような美しい女神像と装飾で、亡き妻の菩提を弔っているかのように感じられます。

もう一体の女神像は、ジャヤテビィが亡くなった後、後妻として迎えたジャヤテビィの姉のインドラテビィがモデルとなったと言われています。
2体共、とても美しい女神像で、ジャヤバルマン7世が二人をこよなく愛していたことが伺える場所でもあります。

プリアカン遺跡を訪れる機会がありましたら、ぜひMR.ポゥキィおすすめの女神像を探してみてください。


[カンボジア]アンコール遺跡群への行き方・観光ポイントを詳しくご説明します!

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アンコール遺跡 旅のプランニングガイド